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蟹工船・党生活者 (新潮文庫)
価格:¥ 420(税込)
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新潮社
発送可能時期:通常24時間以内に発送

カスタマーレビュー
- 「蟹工船」と「現在」のズレ
- 学生のときにこの「プロレタリア文学の金字塔」を読んだが、最近、本屋に平積みになっているのを見て読み直すことにした。
当時は一応「プロレタリア文学の代表作」ぐらいは読んでおこうとして読み、その歴史的意義は理解したが、正直、そのリアルな描写に感心するというよりは、拒絶感を感じた記憶がある。「現在と噛み合う話ではない」と思えた。
読み直してみた現在の感想は、やはり、しんどいと感じた。
しかし、この本が現在、若い人などの共感を得ていて、相当数の発行部数を上げているらしい。
派遣などの非正規雇用の悲惨な実態はある程度、知っているつもりだったが、この「蟹工船」に共感するとなれば、彼らの置かれている状況はかなり深刻だと思える。
「蟹工船」と「現在の社会状況」と「私の認識」、下手すれば、「現在」とズレているのは「蟹工船」では無く、「私の認識」ということになる。
この本が売れているという事実をもう少し真剣に考える必要がある。
- 出来はともかく面白い。だが面白いだけだ。
- 生死にもかかわる悲惨な状況を、リアルに、そして多少の諧謔を交え描き出す、
というのはそれだけで充分面白い娯楽小説たりうる要素であり
この作品は充分それに成功している。
「火垂るの墓」や「どん底」「ぼくんち」が面白いのと同じだ。
ただし物語としての出来はそれらに遠く及ばないのも事実。
なぜならこの小説は「赤化運動は必ず成功する」という、まず結論ありきで書かれているからだろう。
今にも臭ってきそうな生々しい描写の奥にあるものはあまりに脳天気なご都合主義的ストーリー。
この時代の共産主義者の「気分」を知り、このような小説を書く人間が警察により拷問死に至るという社会状況に思いを馳せることの面白さを含めれば星五つでもよいくらいだが、
まあそれらは所詮タイムカプセル的面白さにすぎない。
この作品を読むと「なぜ共産主義はダメだったか」という理由の一端がわかるような気がする。
作品の影響で共産党入党者が増えたなどと言うがいくらなんでもそれは与太ではないのか。
それは、戦時中の戦意高揚映画を見てウッカリ自衛隊に入隊してしまうのと同じ程度に浅はかだと思うのだが。
- やっぱり嫌い!
- あまりに幼稚なタイトルをつけてしまったがやはり嫌いだ。高校生の時に義務的に読んで、また今話題書になっているということで、再読。
たいていの文学作品は何年後かに読むと新しい発見があったり、気づかなかった箇所で感動したり・・。
しかしこの『蟹工船』は、また私から「文学の楽しみ」と「気力」を奪っていっただだった。私は、あらゆる作品は現実世界よりも美しくなければならないと思う。たとえそれが殺人だろうが、残虐な話だろうが、グロテスクな絵画だろうが・・。
しかしこの『蟹工船』だけは違う。私には疲れしかくれない。だから私は高校生の時から『蟹工船』だけは嫌いだった。
私の「文学は美しくなければ」という考えをひっくり返す。それもものすごい大波で。
だから、大波にのまれた私は『蟹工船』に過剰に反応しているのだと思う。「労働とは何か」なんて質問に私は一生正しい解答なんて出すことができない。そしてそんな問題を投げかけないでほしいのに『蟹工船』はそんな質問とともに、なんとも言えない哀しさを与えてきて私をげんなりさせる。
もしかしたらその哀しさこそこの作品の美しさかもしれない。しかし私はまだそれを理解できない。『蟹工船』を好きになれたとき、私の中の何かがかわっているかもしれない。
そう思ってしまうから、そしてそれがまだ達成できていないからこの本は嫌い。
どこまでも追いかけてきて、人を追い詰める問題作。だから怖い。
- 感銘は受けなかった
- 自分は感銘は受けなかった
それに、いくらなんでも派遣社員の労働環境はここまでヒドクないと思う
労働環境云々よりも、日本社会は労働時間の短縮に知恵と労力を注いだほうが賢明。
生々しい臭そうな描写が多く全体の8割くらいは占めるので、食事しながら読むのはおすすめしない
また、小説としても、軸となる主人公らしき人物が登場せず、非常につまらない
読後になにも元気がでない、働きたくなくなる。シャンプーして風呂に入りたくなる。そういう話。
- 国家は何を感じているのか?
- 本書が売れているという事実自体が 時代の一つの事件であるという認識のもとで 初めて本書を読む機会を得た。
まず本書は 非常に迫力のある小説である点に驚いた。方言で構成された会話を駆使して 表現される 戦前の蟹工船の状況にはリアリティーを強く感じた。話の展開も ある意味では紋切型である点で明快である。漫画になっていると聞くが なるほど 筋の明快さとビジュアルなリアリティーから見て 漫画化に非常に向いていると思った。
あっという間に読み終わって 改めて これが現代の日本の本屋に山積みになっている事実を考えなくてはならない。
格差社会、フリーター、ニートというような言葉が 新聞、ネット、ブログで頻出する時代だ。その中で 本書が売れているという状況は 平たく考えると 現在の日本に「蟹工船」と同様の状況を読みとる人が多いということだろう。
流石に 当時の蟹工船のような極端な労働環境は日本には既になかろう。但し 蟹工船という職場を貫く「原理」は ソフトな形に代わって 今なお残っている気がする。特に 最近の派遣社員制度を巡る議論において その「原理」が見えてきており 現代の「蟹工船」の姿が浮かび上がってきているとする向きが多いに違いない。
「蟹工船」を書いた小林多喜二は 特高警察の拷問で死んだ。国家が「危険思想」と判定すると 人を殺害することができる乱暴な時代がかつて有った。そんな「危険思想」が現代でかように読まれているという事を 今の国家はどう感じているのだろうか?
それが最後の読後感である。
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